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    July 10

    戦場の花瓶②

    今回の記事は、前の記事と内容としてつながったものです。
    つなげると、長すぎます。
    長文が苦手な方は、控えられた方が良いかと思われます。
     
    そして、楽しいブログをお求めの方は、お読みにならないほうがよろしいかと思われます。
    たとえ、遊び半分でも、決して。
     

     
    車の中には4人。
    父、母、祖母、私。
    祖母と私が後部座席に乗っていた。
     
     
    話しかけてくる祖母に対し、まともな反応ができないのが次第に嫌になり、
    みすとは祖母に背中を向けて、窓の外をずっと見ていた。
     
     
    いや、見ていたんじゃない。
     
     
    無表情。
     
     
    魂が、ない。
     
     
     
    途中から、いつもの帽子を目深にかぶって、ぼんやりしていた。
     
     
    すると、その帽子をいたく気に入った様子の祖母が、
    「本当かわいいなぁ、それ」
    と言いながら、近寄ってくる。
     
     
    自分を落ち着かせるはずの帽子が、今度は逆に祖母の標的になった。
     
     
    「足長いな」
    「寒くないか?」
    などと言い、触ってくる祖母をうとましく感じた。
     
     
    高速道路のサービスエリアで、帽子つきで外へ出た。
    見知らぬ男性が、こっちを何やらじっと見ている。
     
     
    見せもんじゃねぇぞ――
     
     
    そう思った瞬間に、勢いで殺気だった。
     
     
    男性は、ぎょっとした顔で私を見た。
     
     
    ……あれ。
    向こうの人、きっとそんなつもりで見ていたんじゃないのに……。
     
     
    そんな自分に、だんだん嫌気がさしてきた。
     
     
    そんな私の表情を、「怒っている」と母が指摘した。
     
     
    …怒ってるの?
    自分でも分からない。
     
     
     
    帰リタイ。
    ふと、つぶやく。
     
     
    ――どこに?
     
     
    どこ、って――
     
     
    そうか、帰る場所がないのか――。
    だから、だから――
     
     
    進むしか、ないのか。
     
     
     
    きっと、一番つらいのは、自分の母がこんな状態になった、みすとの母親だ。
     
    だから、自分が泣いちゃいけない。
     
     
    かといって、笑えもしない。
     
     
    ひどいchickenだ。
     
     
     
    放心している間に、車はみすとたちの家についた。
     
     
     
    祖母は、「めまいがする」といって、すぐ寝だした。
     
     
    今思えば、車に酔ったのかもしれなかった。
     
     
    母が、必死になって祖母が寝るのを止めようとした。
     
     
    しかし、止められれば止められるほど、祖母も意固地になって、寝ようとする。
     
     
     
    そして、また。
    「殺してくれよ」と言い、家(マンション)のベランダから飛び降りようとする。
     
     
     
    そのたびに、みすとは祖母を押さえつける。
    「やめてくれよ!!」と、祖母は騒ぐ。
     
     
    もっと、お手柔らかにしたいのに。
    自分の口調がだんだん厳しくなる。
     
     
     
    ドウシテ、ソンナ、ドウシテ――
     
    一番ツライノハ、ダレ?
     
     
     
    くり返す自問自答。
     
    答えが見つからない。
     
     
     
    そして、ふてくされた祖母は、勝手にみすとの部屋に入って、寝ようとした。
     
     
    寝ちゃだめだって言ったのに。
     
     
    おまけに、みすとの枕を使用。
     
     
    ちょっと待って。
    祖母のヘアトニックの匂いが移ってしまう。
     
     
    やめて、ちょっと、ほんとに――
     
     
     
    「ばあちゃん、どいて!!」
     
     
    今度はみすとが半狂乱になった。
     
     
     
    今思うと、なんて心の狭い反応だったのだろう。
     
     
    動かない祖母にいらだち、枕を引っこ抜いた。
     
     
    祖母は怒鳴った。
    「お前は病人に対して、そんなことするのか!?
     見よ、お前たちがそんなことするから、ばあちゃんめまいがして、立っとれんわ!!
     死んだらたたって出てきてやるわ!!」
     
     
    ――ぞっとした。
     
     
    なんで、生前から、そんなこと――
     
     
     
    そして。
     
     
    立っていられないのは、chickenなみすとのほうだった。
     
     
     
    気づいたら、膝が笑っていた。
     
    全身に拡がる震え。
     
     
     
    モウ、ヤメテッタラ―――
     
     
     
    頭が回らない。
     
     
    みすとは祖母を睨み、
    「出てきたら、供養してやるわ!!」
     
     
     
    ――子どものケンカか?
     
     
     
    すると祖母は、こちらを激しく睨み返した。
     
    醜い。
    反射的にそう思った。
     
     
     
    一言言い返したことによって、一瞬にして自分が悪者になった。
     
     
     
    「みすとはばあちゃんを殺して、供養してやるって言ったぞ!!
     病人の私が枕を借りようとしただけで、警察に捕まえてもらうって言ったぞ!!
     こづらにくい(=憎たらしい)、もう生きとれんわ!!」
     
     
     
    どんどん、祖母の頭の中で、つじつま合わせの新しい物語が作られていく。
     
     
     
    ホントニ、ヤメテ。
    生キテイタクナイノハ、ドチラモ同ジ――
     
     
     
    祖母が認知症だと分かっているから、父と母が、祖母のいうことを全く信じなかったのだけが救いだった。
     
     
     
    祖母は居間のテーブルで、ずっと私の悪口を言っていた。
     
    一家はその前で、夕食をとった。
     
    放っておく訳にもいかないから、仕方がない。
     
    箸が進まない。
     
     
    途中で、先ほどの話をしながら、祖母は泣き出した。
     
    そして、また寝にいった。
     
     
    今度は、誰も止めなかった。
     
     
    母も「いったん寝れば落ち着くでしょ」と言った。 
     
     
     
     
    ひどく自分を恥じた。
     
     
     
     
    午後10時半。
     
     
     
    祖母は、忘れた。
     
     
     
    みすとには、現実が残った。
     
     
     
     
     
    ―――アハ、アハハハハハハハハ!!
     
         ソンナンデ良ク、一度ハ祖母ノ面倒ヲ見ヨウト思ッタジャネェカ!!
     
         面白ェヤ!!
     
         オマエミタイナ心のキタナイヤツ、ダカラ就職デキナインダヨ!!
     
         ミンナ、知ッテルンダヨ!! 
     
         コノ、廃人メ!!
     
     
     
    廃、人………?
     
    ハイジン。
     
    ハイジン。
     
     
     
     
    ―――イヤダイヤダイヤダァァァァァァアア!!
     
     
     
     
    泣きもわめきも叫べもしない。
     
     
     
    表情すら、無くした。
     
     
     
    ただ、必死で自分が今までしてきた表情を貼り合わせるのみ。
     
     
     
    涙も、ない。
     
     
     
     
    ―――戦場の花瓶。
     
     
         割れた欠片で、誰かを傷つける。
     
     
         後に残るのは、ただ―――
     
     
     
             からっぽ。
     
     
     
          気持ちも、命も、表情も。
     
     
           全てが、からっぽ。
     
     
     
     
     
     
    それで、誰かの力になるだとか、
    誰かの助けになるなんて、傲慢がよく言えたもんだ。
    July 09

    戦場の花瓶①

    ここを読まれる皆様へ。
     
    今日は長文を書きます。
    長文の苦手な方は、読まない方がいいかと思います。
     
    そして、ブログは楽しいものであるべきだと思われるみなさま。
    今日はみすとは明るいことは書けません。
    暗い文章を読みたくない方々は、この先を読まない方が良いかと思われます。
     

     
    昨日のことだった。
    父親が、最近の祖母(認知症っぽい)の様子を見ていないので、
    祖母の家に行くと言い出した。
    しかも、私の車を使うという。
     
     
    うちの父は、大小合わせて過去に10回の事故を起こしている。
    自分の車が危ない。
    そう思った私は、自分の車を300kmほど運転して、祖母の家へ連れて行くことにした。
     
     
    高速道路で初めて出した、140km/h。
    もし見つかったら、一発免停です。
     
     
    夜7時半頃に、祖母の家に着いた。
    しばらく1人で祖母に付き添っていた母は、ぐったりしていて、ずっとグチをこぼしていた。
     
     
    その日の晩は、特に何事もなく、ふつうに過ぎた。
     
     
     
    そして、翌朝(今日)。
    母が、母の姉妹と相談した結果、祖母のベッドを動かすことにした、というのだ。
    祖母には、夜間せんもうという症状があって、夜になるとふらふら歩き回るクセがある。
    そして、家に誰かいるか確かめるために、母の寝床をのぞきにくるので、
    母が思うように寝られない、という。
     
     
    確かに、久しぶりに見た母の目は、眠そうに血走っていた。
     
     
    もちろん、祖母は大反対。
    確かにみすとも、突然寝床を動かされたら、ちょっと寝づらい。
    祖母の気持ちは分からなくもなかった。
    しかし、やると決めたら、周囲の反対を押し切ってでもする母だ。
    父と母はベッドを解体し、他の部屋へ動かすことに。
    私も、「ぼーっとしてないで手伝え」と言われ、手を貸した。
     
     
    「そんなとこに置いても、そこでは寝んぞ!」
    祖母がわめいた。
     
     
    どうやら祖母には、私たち3人が、揃って祖母に意地悪をしているように見えたらしい。
     
     
    「一度試しに寝てみて、だめなら動かすよ」
    母が答える。
    「だめに決まっとる!」
    と、祖母。
     
     
    「めまいがするんじゃ、なんで病人の言うとおりにしてくれんのよ!」
     
     
    祖母は、いなくなった。
     
     
    「みすと、ピアノを弾いてばあちゃんを呼び寄せて」
    母が言う。
     
     
    祖母は耳はよく聞こえる。
    口で言っても分からないのなら、音楽は確かに妥当な手段ではある。
     
     
    ピアノを弾き始めて15分。
    祖母は、戻ってきた。
     
     
    手には山ほどの山菜。
    どうやら、裏山を登って、採ってきたらしい。
     
     
    とても、病人のできることではない。
    重労働だ。
     
     
    戻ってきた祖母は、動かされたベッドを見て、半狂乱になった。
     
     
    「なんで、こんなとこにあるのよ!?
     あんたら、なんで病人の言うこと訊いてくれんの!?
     私のこのめまいが、お前らにわかるかよ!?」
    そうわめき散らす祖母に、父親が怒鳴り返していた。
     
    「どうして俺らの言うこと訊いてくれんの!?
     ばあちゃんのことを思ってやったんだ!
     病気が少しでもよくなるように、と思って――」
     
    そして、
    「頼むから言うことを訊いてくれ!!」
    と、土下座までしていた。
     
     
    しかし、いくら話の内容がそうでも、怒鳴る相手に対して素直になれ、というほうが難しい。
    祖母は折れなかった。
    しまいには泣き出した。
     
     
    「いいよ、じゃあ戻すよ!!」
    父親も怒り狂って、再びベッドを解体。
    その後に祖母がついてきて、ベッドの位置を直すと言っているのに、
    いつまでも文句を言い続ける。
     
     
    「ベッドを動かしてくれないから――」
     
     
    みんながみんな、戦々恐々とした雰囲気だった。
     
     
    母親が「うるさい!!」と怒った。
     
     
    私は父母の怒りようにはらはらしていたが、父母は心理学徒ではない。
    怒ってはだめ、と言われても、コントロールできるはずがない。
     
     
    「殺してくれよ!!」
    祖母に詰め寄られ、私は祖母の両手首を押さえ込んだ。
     
     
    思いの外、力が入った。
    ばあちゃんが「痛い!!」と悲鳴をあげた。
     
     
    ヤメテヤメテヤメテ。
     
    殺シテホシイノハ――
     
     
    いや、そんな暇なことを考えている場合ではない。
     
     
     
    祖母は拗ねて、またいなくなった。
     
     
     
    しかし、すぐ姿が見えた。
    今度は倉庫に閉じこもっていたらしい。
     
     
     
    そんな祖母を見た父は、何を思ったか、
    みすとたち家族3人が住む家へ、祖母を連れて帰ろうと言い出した。
     
     
    母とみすとは猛反対した。
    明らかに、夜間せんもうの祖母など、みすとたちの家に来たら、
    家族全員の生活リズムが、めちゃめちゃになるに違いない。
     
     
    父だって働いているのだ。
     
     
    みすとだって、就職を控えている。
     
     
    祖母が家にくるのは、たいがい決まってみすとの大事な時期である。
    7年前の大学入試直前といい、今回といい――。
     
     
    そして、祖母を連れて来れない最大の理由は、
    みすとたちの家に来ると、祖母はすることがないので、すぐ寝てしまう。
     
     
    つまり、認知症の進行に、私たちが一役買ってしまうわけだ。
     
     
     
    しかし、それらをものともせず、父は自分の意見を押し切った。
     
     
    そして、祖母を連れて、父母の車(エクストレイル)で4人でドライブしがてら帰ることに。
    私の車(キューブ)は、交通の便が悪い祖母の家に必要だということで、置いて帰ることに。
     
     
    私の愛車……。
    まぁ、今はそんなことを言ってる場合じゃない。
     
     
    認知症の老人に、こんな表現をするのが適切かどうか分かりかねるが、祖母は自己中心的だ。
    祖母はよく喋るのだが、中身は自分のことばかりである。
    ちょっと被害妄想が入っていて、自分の痛めつけられた話になると、表現がオーバーになり、何度も同じ話をくり返す。
     
     
    車の中でも、ずっとそんな話ばかりだった。
     
     
    笑わなければならない。
    人の話を聞かなければならない。
     
     
    それは、分かっていた。
    頭だけで、非常によく。
     
     
    「殺してくれよ!!」
    さっき、自分にそう言った老人が、隣に座って自分の話ばかりしている。
     
     
    怒るに怒れない。
    泣くに泣けない。
    悲しいという気持ちもない。
     
     
    何も感じない。
    感じたく、ない。
     
     
    笑うに笑えなかった。
     
     
    大学で心理学を勉強したはずの自分が、勉強することによって確立した信条に従えなかった。
     
     
    心が、祖母を受けつけない。
     
     
    ――心、取れないかな?
       もう、何も感じたくないんだけど。
       
       心、どこにあるのかな?
       頭かな?胸かな?
       ……ははっ、どこにあるのかわかんないんじゃ、取れるものも取れないや――
     
     
     
    戦場の花になりたい。
     
     
    どんなに緊迫した場面でも、一目見ただけで、どんな人でもふっとなごませられるような。
     
     
    どんな人でも、優しい気持ちにしてしまえるような。
     
     
    怒った人の顔を、瞬時に笑顔に変えてしまえるような。
     
     
     
    そして、戦を止められるくらいの、不思議な力を持った、戦場の花になりたい。
     
     
     
    今の私じゃ、戦場の花瓶だ。
     
     
    花がない。
     
     
    そして、からっぽ。
     
     
    殺風景。
     
     
     
    ――つづく。
    July 06

    病的思考からの軽い脱却

    昨日、祖母の家から帰ってきました。
    母と一緒に行きましたが、帰ってきたのはみすとだけ。
     
     
    金曜に就職の面接を入れたので、履歴書の右半分を書かなければならず、
    祖母の家まで、そういった書類を一式持っていったのですが、全く書けませんでした。
     
     
    それを心配した母親から、みすとに「自宅に帰るように」との命令が下りました。
     
     
    母は、まだ祖母についています。
     
     
    …心配。
     
      
     
    昨日、祖母のところに、市役所の職員の方が面接に来ました。
     
     
    ある程度の介護保険の認定は出そうですが、
    施設に入るべきかそうでないかは微妙なラインだそうです。
     
     
    と、いうことを、母が職員の方と2人で面談していたのですが、
    私は、その間、祖母がどこかへ行ったりしないように、見張りを頼まれました。
     
     
    うちの祖母は、少しでも体がだるいと感じると、すぐ寝てしまうのです。
    そのせいで、深夜によく眠れず、ふらふらしていたりします。
    なので、「絶対寝かすな」との命令が下りました。
     
     
    しかし、母親が出かけて40分くらいたった頃でしょうか。
    ばあちゃんが「めまいがするから寝る」と言い出しました。
     
    これはマズい。
     
     
    そのとき、みすとの目に留まったのは、アップライトのピアノ。
    ちっちゃい頃、実際に弾いていたものです。
     
     
    昔、家にピアノが2台あったのですが、
    引越先の家の都合で、アップライトの方を祖母の家に置かせてもらっていました。
     
     
    「ばあちゃんはみすとのピアノを聞きながら寝るわ」
    祖母が言い出しました。
     
     
    あわわわわ。
     
     
    苦肉の策で、
    「みすとはばあちゃんが起きて座ったらピアノを弾くもん!」
    と、子どものような言い訳をしました。
     
     
    そうすると、祖母は、
    「ばあちゃんはみすとがピアノを弾いたら起きて座るもん!」
    と、さらに子どものような言い訳返し。
     
     
    あぁ、ちきしょう。
     
     
    仕方がないので、
    「みすとがピアノ弾いたら、起きてよ、絶対だよ!!」
     
     
    と、念を押して、弾いたのは『ネコふんじゃった』。
     
     
    祖母のほうを観察しながらピアノを弾いていたら、
    「や~れやれ」と言いながら、身を起こしました。
     
    きたきた。
     
    そのとき、祖母の口から、「七夕の歌が好きや」と、ぼそり。
     
     
    …シメた!
     
     
    祖母の様子に気を配りながら、ゆっくりと、童謡『たなばた』を弾いてみました。
     
     
    すると、祖母が、少しずつ歌い出したではありませんか!
     
    ♪ささのは さらさら
     のきばに ゆれる
     お星さま きらきら
     きんぎん すなご♪
     
    祖母も、2番の歌詞は分からないらしく、1番をひたすらくり返して歌っていました。
    途中から、みすとも一緒になって、歌い始めました。
    (こう見えても、簡単な弾き語りくらいだったら、できるんです。)
     
     
    「あぁ~、えぇ歌やな。
     演歌なんかより、日本の古い歌、大好き!」
    と、祖母。
     
     
    古い歌、古い歌……。
    教科書で見たようなやつでいいのかな。
     
    今は夏。
    夏の歌で行こう。
     
    続いて弾いてみたのは、「浜辺の歌」。
    これも、やっぱり同じように歌うのですが、「たなばた」よりは歌詞が出てこない模様。
    ま、みすとも途中までしか分からないんですが。
     
    みすとから離れて座っていた祖母が、折りたたみイスを持ってきて、ピアノの隣に座りました。
     
    しめしめ。そのまま、そのまま。
     
    そして、「花の街」。
    確か、昭和20年代の歌だったような。
    後でよく歌詞を考えてみたら、春の歌じゃないか。
    がっくり。
    祖母は、歌詞はよく分からなかったようですが、曲は知っていました。
     
    その次に弾いたのが、「夏の思い出」。
    祖母は、
    「それ、なんじゃったかいな。
     『夏の思い出』やったかいな?」
    と、歌のタイトルまで思い出しました。
    歌詞については、冒頭しか覚えていませんでしたが、よくタイトルが出てきたものです。
     
    すると、台所の辺りから焦げ臭いニオイが。
    慌てて駆け込むと、さっき作りかけになっていた煮物が、焦げていました。
     
    あぁ、うっかり。
     
    で、童謡「海」。
    「うみは広いな大きいな」までは、出るんですが、その後の歌詞の記憶が薄い模様。
    みすとの記憶も怪しいです。
    みなさん、覚えてます?
     
    さらに、桃太郎。
     
    祖母の歌詞を拾うと、
    ♪桃太郎さん、桃太郎さん
     お腰につけた きびだんご
     ひとつ下さい お母さん♪
     
     
    …きびだんごをもらうのは、誰?(笑)
     
     
    祖母は、「最後はお母さんやったかいな、お父さんやったかいな?」としきりに首をひねっていました。
     
     
    その後、「おぼろ月夜」。
    最後のワンフレーズ以外、祖母は歌詞を全て覚えていて、何度も、くり返し、くり返し歌っていました。
     
     
    最後に何度も歌っていたのは、「ぞうさん」。
    一番ばかりをくり返していましたが、さすがに歌詞はしっかり覚えていました。
     
     
     
     
    そんな具合に、1時間ほど、ずっと祖母を歌わせました。
    歳の割に、歌は上手なんです。
     
     
    本当は、今日、祖母の家にいたら「ふるさと」を弾いてあげようと思ったんだけどなぁ。
    ちょっと心残り。
     
     
     
    …って、まだ履歴書の右半分が真っ白だ!
    人のこと気にしてる場合じゃない!やべー!!
    July 04

    病的思考Ⅲ

    みなさん、ごめんなさい。
    また暗いネタで…。
     
     
    本当、KZさんの言った通りになった。
     (KZさん、バトンなかなか拾えなくてごめんなさい。
     必ず爆笑取らせて頂きますので、今はお許し下さい)
     
     
    1日で60回に及ぶ電話。
    祖母だ。
     
     
    深夜1時に、
    「なんでばあちゃん、この家に1人でいるのよ!?
     みんな寝てる?
     そんなの、すぐ起こして迎えに来てよ!」
     
     
    本当に子供だ。
     
     
    父親がなだめようとしたが、うまくいかず、翌朝も6時半から電話は続いた。
    親戚の所にも電話はかかり、みんなを巻き込む形になった。
     
     
    仕方なく、母と私が再び祖母の家に行くことに。
     
     
    先日と同じキャスケット、ベルトに靴。
    車は実家の日産のエクストレイル。
    一般道を80km/hですっ飛ばす。
    何とも無骨でパンクな母娘だ。
     
     
    いざ、着いてみると。
     
     
    何とも、ない。
     
     
    しかし、病的に忘れてる。
     
     
    昨日、60回も電話したことも、父親と話したことも。
     
     
     
    怒っちゃいけない。
    頭じゃ分かってた。
     
     
    「母さん、電話のせいで寝てぇへんねや!」
     
     
    責めてしまった。
    笑いが引きつる。
     
     
    本当にダメなのは、私…?
    June 30

    悲痛

    みすとの心がねじきれそうです。
     
    弱虫。
     
    ネットのない世界に連れ去られて…
    現実世界と向き合わなきゃならなくて…
     
    ここは祖母の家。
    祖母がいよいよ本格的に危ない。
    私が免許をもってることも、1ヶ月前に私の運転する車に乗ったことも忘れてる。
    そして、同じ話を何度もずっと喋ってる。
    こちらが考える暇がない。
     
    [間違えてもいいし、忘れることもよくあることよ]と言っても、祖母は自分の誤りを認めない。
    本当のことを言うと、怒りだし、[みんな自分のことを悪く言う]とふて寝してしまう。
    受容してあげたいが、現実を分かってもらえないのはつらい。
     
    しかし、祖母は突然目の前に現れたかと思うと、
    ぼそりと「死にたい…」
     
    ―老年性うつ病?
     
    現在ニートのみすとが、祖母の家で面倒をみるべきかしら。
    でも、この家の正式な跡継ぎは他にいる。
    仕事で忙しいけど。
     
    どうしよう。
    どうしよう?
     
     
    うぁぁぁぁぁぁ!!!
     
     
     こんなchickenなみすとを、誰か、ぶってくれぇぇぇ!!
     
     
     
    それが全て 気が狂うほど まともな現実――。
    June 14

    悩める羊

    突然ですが、みすとの母親は、ムコ養子です。
    母親は3人姉妹の長女で、家を継いだことになっています。
     
    母方のじいちゃんは私が生まれる前に亡くなりましたが、
    ばあちゃんは生き残っています。
     
    そのばあちゃんの「ボケ」らしきものが、私が高校生の頃辺りから徐々に始まってきたのです。
     
    昨日、みすとの母親が、ばあちゃんに頼まれた、ある品物を宅急便で送りました。
    ちゃんと届いたかどうか気になった、みすとの母親が、昼頃にばあちゃん家に電話を入れました。
     
    すると、ばあちゃんは
    「あ~れ怖い~」とひとこと。
     
    話をまとめると、
    「今日家で誰にも会っていないのに、仏壇の前にお前(みすとの母親)から送られてきた宅急便が置いてあって、封があけられている。
     買い物に出かけて、帰ってきてからそれを発見した。
     誰が宅急便を開けたのか、分からない。
     近所の人みんなに『うちに入って宅急便に触ったか』と聞いたが、誰もやっていないと言う。
     宅急便のおにーちゃんがやったんだろうか。恐ろしい、恐ろしい」
    ということでした。
     
     
    いやしかし、宅急便屋のおにーちゃんが、そんな勝手に荷物を開けるはずはありません。
     
     
    「ばあちゃんが開けたんじゃないの?」と聞きましたが、ばあちゃんは「違う」と言います。
     
     
    母親とみすとは、考えたあげく、
    インターネットでばあちゃんの家の近くの営業所を調べ、
    誰に荷物を渡したのか、誰から印鑑をもらったのか、配達のおにーちゃんから話を聞くことにしました。
     
     
    数分後の宅急便屋さんからの電話で、
    荷物はちゃんとばあちゃんに渡したこと、ばあちゃんから印鑑をもらったことが判明。
     
    しかも、ばあちゃん家の近所に、ばあちゃんと同じ名字の家庭はないので、
    他人から印鑑をもらうことは、不可能に近いのです。
     
     
    やっぱり、ばあちゃんが自分で受け取った確率が高くなった、と思った母親とみすとは、
    ばあちゃんに再び電話し、その話を伝えました。
     
     
    すると、ばあちゃんは。
     
    「お前にそんなことが分かるはずがない。
     やっぱり、誰かが宅急便を勝手に仏壇の前において、開けていったんだ」
    と、はなっから信じる気などありません。
     
    みすとの母親が、
    「宅急便屋さんに電話して聞いたんだよ」と言っても、
    「絶対に違う」と言います。
    そして、
    「お前まで私(=ばあちゃん)のことを疑うようになったか」と嘆き、
    「お前がそう言っても、私は誰かが宅急便を勝手に開けたと信じとる」
    と言い切ったのです。
     
     
    あぁ、やっぱり。
    ばあちゃんにとって、ばあちゃんが信じたことだけが『事実』なんだ。
     
     
    人間誰でもそうだと思うのですが、
    その人が『本当だ!』と思って信じたことだけが、その人の『事実』なのではないでしょうか。
     
     
    例えば、自分の知っている誰かが、人を殺したと仮定してみてください。
    もし、その「誰か」が、自分がとても信頼を寄せていた人物なら、
    「この人は絶対人を殺すような人じゃない!」
    と、信じられない気持ちでいっぱいになることでしょう。
     
    逆に、自分がまったく信頼していない人物なら、
    「やっぱりあいつかー」
    などと、すぐさま疑いの目を向けることでしょう。
     
    こんな感じに、
    『事実』がどうであれ、
    殺した人がどんな人であったかや、そのときの自分の気分(信じたいor信じたくない)によって、
    自分の信じる現実世界なんて、すぐに「変えられる」ものなんです。
     
    ちょっと度を超した極論ですが、
    「信じたくない、と思えばその事実はウソになるし、
     信じたい、と思えばその事実は本当になるよ」ってことです。
     
    と、考えると、
    客観的に事実のみを信じていくことって、本当はすごく難しいことのはずなんです。
     
    だから、ばあちゃんがボケてるのかどうかってことも、実は判断が難しいはずで…。
     
     
    う~ん、難しい。
     
     
    そんな中、母親が、
    「あんた(=みすと)が、ばあちゃんの家の近くで就職して、面倒見てくれたらなぁ…」
    と、ぼそりと漏らしました。
     
    …げへ。
    無職の弱み。
     
     
    確かにみすと自身も、そのことを考えたことはあったのですが…
     
    ばあちゃん家は、ど田舎にあるため、
    いかんせん昆虫が多く、おまけに野生動物(サルや熊)が出ます。
     
    そして、観光地のため、働く場所といえば『旅館』。
    酔っぱらいにからまれるような仕事は、どうもなぁ…。
     
    私でもできそうな、残る可能性は…
    『公務員』…なんかしっくりこない。
    『開業』…雑貨商なんかいいかも、と思ったが、資金をどこから集めるのやら…
     
     
    う~ん、と、まじめに考えていたものの…
    あぁ、キリがない。
     
     
     
    最後に、みすとの近所の写真を1枚。
    みすとの地元は、すいかがたくさん作られています。
     
    そんな地元の、産直野菜市場での1ショット。
     
    誰か、このお店を助けてあげて!